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■ななちゃんねる通信■

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■高倉健さん、逝く■


高倉健さん、逝く。

静かな重みのあるイメージだけれど、
多分、プライベートでもそういう方だったのだろう。


かれこれ20数年前だけれど、
一度だけお見かけしたことがあった。

当時、ブライダルピアノのアルバイトをしていた私は、
帝国ホテルのレストランでの結婚式で演奏を頼まれたことがあり、
その招待客の中に高倉健さんがいらっしゃったのだ。

その日に担当した式には、
やたらと招待客に芸能人、俳優、歌手が多く、
いったい誰の式なのだろうと、興味津々だった。

新郎は、某映画の助監督だった。
とはいえ、結構お年を召していた。
対して新婦は若くて、はた目にも分かるぐらいお腹が大きかった。
どちらも知らない人ではあったけれど、
大御所がずらりと並んでいるので、きっと映画業界では有名な方だったのだろう。

記憶では、高倉健さんは乾杯の音頭を取っていたように思う。

とても驚いたのは、緊張からか、
手も声も震えていて、三角のグラスに注がれたシャンパンが、
ばしゃばしゃとこぼれて床がびしょびしょになってしまっていたこと。
えぇ、ベテランが、こんな場で緊張するの??
と、かなり驚いた記憶がある。
「こういうの苦手なんだよなぁ」という心の声が聞こえてきそうな雰囲気だった。

どんな内容だったかは忘れてしまったけれど、
非常にに短いお祝いの言葉だった。

思ったよりも小柄だったけれど、
背筋がピンとしていて恰好が良かった。
みんなが談笑していても、中に入らず、ポツンといた。
それは、畏れ多くて、誰も気軽に声をかけられなくて・・・、
結果、ポツンといた感じだった。

あの時は、ちょうど60歳ぐらいだったのかな。
あの時、あの場にいた人たちはみんなどうしたのだろうか。
助監督は、まだ映画業界にいるのだろうか。
お腹の赤ちゃんも20歳を超えている。
家族は増えたのだろうか。
不謹慎だけれど、
リコンなんてしちゃっているかもしれないし、ね。
今も、夫婦は仲良しなのだろうか。
もしそうだったら、今日の訃報を驚いて聞いたに違いないと思う。

20年前のひとこま。
訃報のニュースを見て、急に思い出した。

高倉健さんのような、語らずして相手に悟らせるような男は、
もうこの世に生まれてこないような気もする。
誰もが認める、
男の中の男、言わずもがなですが。

女はもちろん、
今や男もしゃべりすぎ。
やれブログだ、フェイスブックだ、ツイッターだ、ラインだ、メールだ、と、
とにかく何でも主張して発信したがる人、増殖中。

雄弁は銀 沈黙は金

なんだよね。わかっちゃいるが・・・。


熱烈なファン、というわけではなかったけれど、
居て当たり前の人がいなくなると、
お腹にぽっかりと穴が開いてしまった気がする。

さようなら。
さみしいね。
by nanacode | 2014-11-18 22:40